卒業生が語る地域おこし協力隊の経験から学んだ5つのこと

05/01/2020アドバイス

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2020年3月31日を以って、下呂市地域おこし協力隊としての3年間の任期を終え、無事卒業致しました!拍手〜!パチパチパチパチ。

ということで今回は地域おこし協力隊を通して学んだことについて紹介していきたいと思います。

地域おこし協力隊に応募しようと思っている方、また現在何らかの形で地域おこし協力隊の方と関わっている方に読んで頂いて、何かためになる知見を与えられたら嬉しいです。

今回は3年間の学びにフォーカスした記事ですが、また別の記事で総括やその他地域おこし協力隊のリアルについても卒業生という立場からご紹介させて頂けたらと思います!

枚挙に暇がありませんが、今回は5つに絞って地域おこし協力隊の経験から学んだことについて紹介していきましょう!

移住も起業も意外とカンタン

まず移住が思った以上に簡単だったことです。

移住って言うとなんか大きな移動って感じで難しいイメージあるじゃないですか。どちらかというと前職を辞めることの方がハードルとしては高いですかね。

僕は会社員として働き始めて1年(インターンも含め実質2年間)で決心がついたので、リスクは少ない方だったかと思います。

それでも最初は「僕なんかに移住なんて出来るのかな」とか思っていました。

ただ終わってみれば一般的な引っ越しが都会から田舎へなっただけです。少なくとも単身の移住であれば、自分さえよければいいので難しいことなんてないと思います。

今では「人間暮らそうと思えばどこにでも住めるんじゃないか」と次は離島かな海外かなとか要らぬ妄想をしているくらいです笑

また協力隊2年目に起業をしましたが、これも誰でも出来るなって感じです。

初めから会社として起業するのは初期費用やリスクも伴いますが、個人事業主としての起業(開業)はなんてことないです。

開業届を出して確定申告をきちんと行えばいいだけです(極論)。でも実際それだけなんです。

もちろんサービスやプロダクトを商売として販売するわけですから、顧客に対する責任については徹底しなくてはなりません。そこがボランティアなど無償で事業をすることとの大きな違いです。

何か商品に欠陥があったり、クレームが入ったりとそういったリスクマネジメントは最低限必要となります。

ただ起業を決意するくらいの人であれば、これまでに会社員として様々な局面を乗り越えてきたことでしょうから全然心配することないと思います。

地域おこし協力隊の魅力の二つ(?)でもある移住と起業。僕ももれなく経験させて頂きましたが、予想以上に簡単でした。

そしてこれらの経験が今後の人生にもきっと役立つだろうと前向きな気持ちでおります。

地域おこし協力隊の起業に関する記事はこちらをご覧下さい!

田舎での立ち回り方

2つめにお話したいのは、田舎での生活や仕事の仕方についてです。

移住は簡単、起業も簡単と一つ前にお話させて頂きましたが、それはあくまで"点"のお話です。物事を継続するためには別の知識やマインドが必要になります。

地域おこし協力隊としての活動から主にそのマインド面について学ぶことが多くありました。

移住について二の足を踏んでしまう理由としては多々あるでしょうが、一般的に"生活文化の違い"は都会の人からするとちょっと不安になるかもしれません。僕も最初はもちろん不安でした。

具体的に言えば、ご近所との付き合い方とか地域行事とか。いわゆる田舎スタンダードですね笑

でも1年目が過ぎた頃にはなんとかなっていました。もちろんまだまだ(というか永遠に)"よそ者"でしょうけど、後ろ指を指されることは一切ありませんし、うまくやってけています。(単純に周りの人の良さに助けられているだけでしょう)

「郷に入りては郷に従え」ということわざがあるように、その土地の文化に合わせて生活をすると良いことがたくさんあります。

そしてこの生活文化の違いは仕事へも影響してきます。田舎ビジネススタンダードですね笑 ただ田舎での生活に慣れることができれば仕事も全然大丈夫だと思います。

具体的には、権力者の把握や噂などグレーな部分が多いですが、人付き合いは特に重要かと思います。

金儲けとか悪巧みとかしていない限りは特に周りからの大きな影響はありませんが、人付き合いの良し悪しで事業を好意的に見てくれるかが決まります。

僕の場合、これまで地域の誰もが考えもしなかったようなことを仕事としているので、その点心配ではありましたが、誠実な姿勢が功を奏した気がします。

無論全員が僕のこと、僕の事業のことを好意的に捉えてくれているとは思っていませんが、それは都会で仕事をしても同じことでしょう。

学んだこと2つめは、移住と起業の継続という観点からお話してきました。これらもとても良い経験になりました。

行政の良いところ・悪いところ

3つめはこちらも地域おこし協力隊ならではのお話です。

地域おこし協力隊にとって、行政とは切っても切れない関係にあります。総務省が旗を振り、地方自治体に協力隊を募集させているのだから当たり前ですよね。

雇用関係あり/なしについては募集内容や行政によって様々な形態がありますが、どちらにしても行政との付き合いは3年間、いや協力隊を卒業してからも続いていきます。

僕は行政に雇用される形で3年間を過ごしたので、とりわけ行政の良い面と悪い面を見たような気がします。

詳細については今回の記事では伏せておきます。特に悪い面については行政批判として捉えられかねませんので。お世話になった方々の悪口はこの場では言いたくはありません。

その前置きをした上で、簡単に良い点と悪い点をまとめると次のようになります。

良い点

  • 親身になって相談に乗ってくれるなど温かいサポートがある
  • 地域での生活や仕事の架け橋的な役割を担ってくれる
  • 残業やノルマについてはかなり寛容
悪い点

  • 予算や決済などお金のことについて非常に複雑
  • 業務スピードが遅い
  • 雰囲気が和やかすぎて仕事を進めにくい

これらは行政によって地域によって様々に異なるでしょうが、民間企業と比較すると大体このような感じではないでしょうか。

会社員から公務員、公務員から会社員と転職することは今となっては普通ですが、その経験者は口を揃えて違いに驚いたと言いますよね。

僕も地域おこし協力隊すなわち公務員として働いたわけですので、前職との会社員との違いを多く経験しました。

上で書いたように良いことも悪いこともありましたが、人生においてはどれも良い経験だったと思います。

地方創生の現状とこれから

4つめはいわゆる地方創生的なお話になります。見出しにある通り良いお話ではありません。ただ僕の経験としてはとても良い学びでした。

あくまでこれは僕の3年間の経験から考えたことであり、未来がどうなるかは予想できませんが、地方創生によって抜本的な改善はなされないと思っています。

端的に言うと、"地方は縮小し続け、限界集落は増えていく"ということです。

都会で生活しているとこういった類のニュースは聞くものの、実態はどうなのかまでは考えることなんてありませんよね。

ただ地域おこし協力隊として活動することは否が応でもその実態を見るもしくは感じることになります。それは地域おこし協力隊というプロジェクトが地方創生事業の一環として生み出されたものであるからですね。

僕の応募要項にもそんなようなことが書かれていました。「地域活性化のために新しい事業を起こしてほしい!」と。

果たして僕の創り上げた事業が地域活性化に貢献しているかは別問題として、人口流出による地域経済の衰退の流れは止められないと3年間のある時点で思いました。

ただここで示しておきたいのは、地方創生事業や地域活性化のための活動全てがムダである、ということではないです。

むしろそういった活動自体ミッションに溢れており、金儲けだけを考えたビジネスよりよっぽど公共性もあり社会貢献をしていると思うし、僕はそちらの方が好きです。

地方は縮小していく、というのはあくまで不可逆的な現象として捉えているだけであって、個人の活動に優劣をつけるつもりはありません。

そしてこの現象を肌で感じたことは自分にとって良い学びであったとさえ感じています。

この学びが今後自分の人生にどう影響してくるかは皆目検討もつきませんが、ニュースの裏側にある実態を見た気がしますし、日本の未来を考える検討材料になると思っています。

これは地域おこし協力隊として田舎で生活しながら仕事をしなければ、絶対に分かり得なかったことですし、その点で貴重な経験をさせて頂きました。

こちらの記事について地方創生について詳しく述べております。

自分の人生を生きることの大切さ

最後は、僕が口にイボが出来るほど言い続けていることであり、地域おこし協力隊の経験における最大の学びです。

協力隊が終わってからも、自分の人生を生きることの大切さを身を持って実感しています。

自分の人生を生きる、というのはすなわち「自分の気持ちに正直になる」「自分を大切にする」ことと同義だと思います。

一見シンプルに見えますが、現代を生きる日本人でどれだけの人が「できています」と答えられるのでしょうか。

個人的には10%くらいなんじゃないかなと思っています。大半の人は"何か理由をつけて"考えを先送りにし、結果的に自分をないがしろにしていることでしょう。

地域おこし協力隊の面白いところは、移住と起業を同時に経験できる点です。もちろん全員が起業するわけではありませんが、卒業後の進路として一番割合も高く、僕も応募時に頭に入れていました。

そんな人生の一大事を経験できるということは、裏を返せば、そこに行き着くためには"自分"について様々な想いを巡らせたことでしょう。少なくとも僕はそうでした。

考えて考えて考えてやっと見つけた答え、それが地域おこし協力隊でした。

僕は昔から自分の人生について考えることが好きだったし、自分の人生を生きる人になりたいと思っていました。

今振り返れば、これまでの人生で自分のことを真剣に考え、自分の意思で人生における選択をしたことはそこまで多く無かったように思います。

ただ地域おこし協力隊としての3年間の中で、良い意味でも悪い意味でも自分の人生についてあれこれと想いを巡らす機会が本当に増えました。

そしてその結論として「自分の人生を生きる」ということの真の大切さを実感したように思います。

自分の人生に明確な答えはないかもしれませんが、見つける努力ができるのも、それを実際に見つけ勝ち取りにいけるのも自分だけです。

これこそが地域おこし協力隊としての経験で得た最大の学びであり、今後も自分の人生を模索し、それに向かって努力をし続けていきたいと思います。

自分の人生について悩んでいる方向けに、これまでいくつか本のご紹介もしてきました。興味がある方はぜひ読んでみて下さい。

まとめ

いかがだったでしょうか。今回は地域おこし協力隊卒業という一区切りにおいて、その経験から学んだことを5つに絞って紹介していきました。

協力隊の経験をされた方なら「こんな学びもある」「これは違うんじゃないか」と様々な意見があるでしょうが、そこにはもちろん優劣はありませんし人それぞれです。

協力隊の応募を考えている方や、転職など自分の人生を模索している方には、この記事が何か人生の選択における材料になってくれればそれ以上に嬉しいことはありません。

地域おこし協力隊の活動をする中で気づいたこと、悩んだこと、分かったことは他にもたくさんありますが、また改めて整理をして自分の血肉としていきたいと思います。

そのどの学びも貴重な経験であるし、最後に話したように「自分の人生を生きる」上で必ず役に立つことだと信じております。

自分を大切にし、自分だけの素敵な人生を送っていきましょう。