あなたはAIに食われるのか?『10年後の仕事図鑑』レビュー
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「近い将来AIが人間の仕事を奪う」こんな噂がまことしやかに囁かれていますよね。
あなたの仕事は10年後、30年後どうなっているでしょう?AIに取って代わられているのでしょうか?
そんなことを考えていると次第に悲観的になってしまいますよね。
ただAIを悲観視することは何も生み出しません。未来を良い方向に動かすためには行動あるのみです。
そんなはじめの一歩に最適な本をご紹介しましょう。堀江貴文氏と落合陽一氏共著の『10年後の仕事図鑑』です。
時代の最先端をゆく両氏だからこそ考えられるテーマであり、読んでいて非常にワクワクする内容でした。
AIと今後どう付き合っていくか、近い将来どのような立ち回り方をすべきか、本著から学び取っていきましょう。
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未来に希望が持てるようになる
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将来求められる人材像が見えてくる
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今後のAIとの関わり方が分かる
書籍概要
タイトルは”10年後”とありますが、堀江氏・落合氏ともに「未来に対して悲観的にならないでほしい」というスタンスを取っています。
確かにAIの発達によって、今ある仕事のいくつかは無くなる可能性が高いですが、AIはそもそも人間の生活に寄与するものであり、人間を幸福にしてくれるものです。
ただAIの発達だけに気を取られるのではなく、これから近い将来想定される価値観や社会構造の変化に伴い、個人の思考も変わる必要があると両氏とも言っています。
そんな激動の時代だからこそ、力強く生きていってほしいとの願いを込めて本著が世に放たれました。
一般的なビジネス書より大きく、ページ数も253ページと時間がかかるように思えましたが、あっという間に読み終えていました…
なにしろ内容が面白すぎて、一心不乱でページをめくっていました。こんなこと人生で初めてかもしれません笑
“仕事図鑑”ということで、AIの発達により無くなる仕事や生まれる仕事が紹介されていますが、どちらかというとどういったスタンスでこれからの時代を生き抜いていくか、という点にフォーカスされた本だったように思います。
両氏とも時代の最先端を走っているイメージがありましたが、そのイメージ通りでした。
新しい発見が本当に多くあり、貴重な2時間半でした。全ての人に本気でオススメしたいと言える名著です!
専門用語は多めですが、内容が頭に入ってくれば、2時間半から3時間で読み終わると思います。
著者プロフィール
1972年福岡県生まれ。91年東京大学入学、のち中退。96年、有限会社オン・ザ・エッヂ設立。02年、旧ライブドアから営業権を取得。04年、社名を株式会社ライブドアに変更し、代表取締役CEOとなる。06年1月、証券取引法違反で逮捕。11年4月懲役2年6ヶ月の実刑判決が確定。13年3月に仮出所。著書に『拝金』ほか多数。
1987年生。メディアアーティスト。東京大学大学院学際情報学府博士課程修了(学際情報学府初の早期修了)、博士(学際情報学)。筑波大学准教授・デジタルネイチャー推進戦略研究基盤代表・JST CREST xDiversityプロジェクト研究代表。機械知能と人間知能の連携について波動工学やデジタルファブリケーション技術を用いて探求。近著として「日本進化論(SBクリエイティブ)」、「デジタルネイチャー(PLANETS)」、写真集「質量への憧憬(amana)」など。
目次
Chapter 0:激動の時代を生きるあなたへ
Chapter 1:すべてが逆転するこれからの生き方
Chapter 2:なくなる仕事・変わる仕事
Chapter 3:生まれる仕事・伸びる仕事
Chapter 4:お金の未来
Chapter 5:日本の幸福と社会について
Chapter 6:ピュアな情熱に導かれた”自分の人生”を生きよ
印象に残った内容
会社に属す=名前を失う
学生時代の頃から僕が考えていたことと同じ内容がたまたま書いてありました。
会社に属すことは自分の名前を失うことと同義であると。
僕は今でも会社員で生きることに疑問を感じています。
それは給料や仕事内容を会社に決め”られる”ことだけでなく、自分の創り上げたサービスやプロダクトは会社に帰属するからです。
だからこそ僕は会社員時代も、10数名の会小さな会社で働き、少しでも自分の名前で勝負できる環境に身を置いていました。
まあ結果的にはそれすら僕の性分には合わなかったようですが…
誰もが会社に属さずに一定の収入を上げ生活できるという保証は全くありませんが、会社員として生きる弊害についてももっと多くの人に考えてほしいところです。
確かにお金も貰えるしやりがいもあるかもしれません。ただ客観的に捉えればそれは”生かされている”ということ。
自分の名前も価値も会社に”帰属”し、最終的な産物は会社に”吸収”されてしまいます。
自分はどうあるべきか就職する前はもちろんのこと、就業中も考えることに意味があるはずです。
ベーシックインカム
これは堀江氏が述べていたことで、「極論すぎ!」と思ったものの同感だったので僕の考えも話しておきます。
ベーシックインカムとは政府が生活に必要な最低限の収入を担保するということ。
それによって個人は会社に属す、ひいては仕事をするという概念から解放されることになります。
仕事をしたい、サービスを提供したい人はすればよく、したくない人はベーシックインカムをもらい何の仕事もせず生きていればよいのです。
現状どれほどの人が高いモチベーションでやる気をもって仕事に打ち込んでいるでしょうか。
これは会社員にとどまらず、経営者やフリーランスの人も含めてです。
現代の資本主義社会に置いては収入がなくては生活の危機にさらされてしまうという構図があります。
だからこそたとえやりたくない仕事でも、”やらなければならない”のです。放棄すれば生活できなくなりますからね。
その点ベーシックインカムを導入すれば、個人が嫌々つまり低いモチベーションで仕事をすることがなくなるでしょう。
生活は保障されているので、好きな人が好きな時間に好きなように仕事をすればよいだけです。
この場合”仕事”というより”趣味”を楽しむといった方が適切かもしれませんね。
そんなに事態は単純でないかもしれませんが、考え方はクリエイティブかつ理にかなっていると感じます。
仕事に追われる生活の根本を捉えた時、その負の側面を取り除けるようになるのですから。
翻訳の未来
本著のメインコンテンツである無くなる仕事と生まれる仕事。
翻訳は無くなるもしくは変わる仕事として紹介されていました。
これについても同感です。AIの発達によって翻訳や通訳といった市場は確実に縮小するでしょう。
今のGoogle翻訳の性能はイマイチかもしれませんが、自分は確信しています。
インバウンドガイドとしてどちらかというとその市場内にいる人間がこんなことを言っているのは少々皮肉的かもしれませんね笑
確かに翻訳や通訳は仕事としての需要が減るでしょう。ただ僕はこれに関してあまり悲観的に捉えてはいません。
むしろ世界中どこにいても言語の壁に悩むことなく仕事ができるようになるということに希望を持っているほどです。
ここで何年先のことになるか、という確率論的な議論は不毛だと思っているので、自分の立ち回り方を考えるようにしています。
大切なのはそのサービスの源がどこにあるのか。何を顧客に”価値”として提供したいのか、そこを考えなければなりません。
インバウンドガイドであれば、ただ文化財や地域のことを他の言語に翻訳して伝えるだけではダメだということです。
その価値については人によって企業によって千差万別でしょうし、逆にそれが”インバウンドガイド”の市場価値を高めると思っています。
もちろんこれは、一般的な翻訳や通訳の仕事についても同じことが言えます。
「AIに仕事を奪われる」と悲観的な考えしか持たないことは危険で、それよりも考えるべき、やるべきことがあるのです。
AIにも他の誰にも生み出せない価値
一つ前に紹介した内容と言いたいことはほとんど同じですが、また違った視点から自分の考えを書いておきます。
『AIにできること・できないこと』という書籍を読んだときにも思ったことですが、「目的がない状態ではAIは無能」なんですよね。
似た内容が本著にもありまして、目的や理由はあくまで人間が決めるものであって、それがなければAIは何も出来ないのです。
この目的はあらゆるものを包含します。無事故で自動車の自動運転を実装するとか、将棋の名人に勝利する、とかですね。
その目的に沿ってあらゆるデータをかき集め、検証し、最適解を出し、その目的を達成しようとするのがAIなのです。
ただAIは目的を自分で生成することができません。そこは人間の仕事です。
それを価値という概念で考えると、困っている人を助ける、社会問題を解決する、といったサービスやプロダクトを生み出すのは常に人間であるということになります。
AIの発達によって失われる、もしくは変化する仕事はあるでしょうが、それがいつになるのか、どれほどの確率かといった議論はナンセンスで、どのようなサービスを生み出し、どのような価値を提供していくかを考えることこそ今も未来も必要なことです。
その価値がAIにも他の誰にも生み出せない唯一無二の価値であれば、どんな社会になっても必ず生き残れることでしょう。
本著を含めAI関連の本を読んで一番大切だと感じたのはこのことです。
引き続き「自分にしか出せない価値」の追求に全力を尽くしたいと思います。
まとめ
一言で「面白い!」と言いたいです笑
堀江氏の本は今まで読んだことがあり、本著における論説のスタンスはほぼ同じでした。
落合氏はテレビで見たことがある程度で、本として彼の考えを学ぶのは初めてのことでした。
うまく表現しづらいですが、ダイナマイトをダイナマイトで爆発するような感覚を受けました笑
保守的な人にはかなり過激な思想と映る箇所も多々ありますが、僕は全く疑問を感じること無くペラペラとページをめくっていました。
これまで考え続けてきた持論が正しかったと実感できたのと、逆に未来に向けて今足りていない思考を追加することができました。
何度も読み返し、血肉としていきます。
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