銀座の外国人向けナイトツアーから地方インバウンドを考えてみた

02/07/2019事例紹介

2018年も大いに好調だったインバウンド。なんでも3000万人超えですからねえ。今後どこまで伸びるのか、田舎インバウンド従事者として注目しております。

さてそんな中東京は銀座で非常に興味深い体験があったので、そちらを紹介するとともにこの体験から学べることなんかを書いていきます。

Ginza Theatrical Night tour

舞台は大都会東京のセレブが集う街、銀座です。

銀座は特にこれといって思い入れはありませんが、柄にもなく高級靴を買いに行ったのと東京時代23歳の誕生日祝いに両親と焼き肉を食べに来たことは今でもよく覚えています。

その銀座でナイトツアーとして外国人旅行者向けに開催されている超エッジの効いたツアーが、この”Ginza Theatrical Night tour“なんです。

“Theatrical”は日本語にすると、「劇」とか「劇の」といった意味になります。

そう、何を隠そうこのツアーは運営主体が日本有数の芸能プロダクション「松竹」なのです。

内容はどんなものかというと、夜の銀座の街や建物を舞台にして、映像上映や演劇パフォーマンスをミックスさせた、新感覚の没入型観光ナイトツアーになります。

レトロな文化や最新の流行が融合する銀座の街を、役に扮したガイド達とひとつの物語を軸に巡っていく、全く新しいエンタテインメントとなっているそうです。

またツアー中には銀座の街に古くから構える歴史ある建造物や飲食店を巡り、景色や飲食を楽しむこともできるみたいですね。

全文英語ですが、詳しくは公式サイトをどうぞ。

内容理解にはこちらの記事のほうが読みやすくていいかもしれません。

見どころポイント

ではどういった点が見どころかまとめていきます。

各ツアー専属ガイドが1名つくようなのですが、劇ということで出演者もしっかりついてきます。1930年代からタイプスリップしてきた設定の銀三郎さんとベギーさん。

このお二方がかなりの役者なそうで、現代の銀座の姿にしつこいほどに驚くそうです。しかもコンビニやアップルストア、スマホにまで仰天する始末。まあ1930年代から考えたらありえないものだらけですよね笑

ツアー参加者はこの一癖も二癖もある役者さんらと銀座の街を練り歩くわけですね。そしてその二人の演技を通して、昔の銀座そして現在の銀座を知っていくわけです。

参加型でありつつ、演者のエンターテイナー性が凄まじく光る非常に内容の濃いツアーとなっているわけですね。

このツアーから得られる示唆

ではこの”Ginza Theatrical Night tour”から得られる示唆はなんでしょうか。考えてみましょう。

3者間で行われる体験

松竹芸能主催ということで個性的な俳優さん、女優さんが出てきますね。この点がまず新しくユニークなポイントです。

本来体験ツアーというものはホストとゲスト、ガイドとゲストなど2者間で開催されるものです。ホストまたはガイドがインストラクターを兼ねる場合もありますね。

一方こちらの銀座ナイトツアーはゲストの他に、しっかり解説を行うガイドと演者が存在するわけです。

これによってゲストはガイドから学びを得るだけでなく、演者とともに体験を楽しむことが出来るわけです。参加型の体験の最たる例な気がします。

少グループツアーもしくはプライベートツアーではよりゲストとガイドとの距離感が近くなるので、ゲストは現地の文化などについて気兼ねなく質問をすることができます。

そういう意味では参加型なのですが、この場合はどうしてもガイドとゲストの知識量の差、端的に言うと「先生と生徒」のような関係になってしまいがちですね。

少グループツアーかつ普段軽いノリの僕でさえどうしても自身のバイクツアーでそんな関係になっていないか心配になることがあります。

銀座ナイトツアーはガイドともう一者、演者がいることでいわゆる「第2のゲスト」的役割も担っており、ゲストは同じ目線で体験に参加できるわけです。

エンターテイメント性に突出した体験

日本全国津々浦々色々な外国人向けのツアーがあると思いますが、ここまで「エンターテイメント」に重きを置いて作られた体験はそう存在しないでしょう。

そもそも松竹芸能が運営していますから、「人を楽しませる」という思想がツアー全体に染み込んでいます。

ただなんと言っても現代の銀座の街に対する、演者2人の大袈裟にまで驚く姿がこのツアーを輝かせているでしょうね。

やれ”Be samurai”だのやれ”Ninja experience”だの様々な体験がありますが、芸能という側面からゲストを喜ばせている側面が素晴らしいと思いますね。

地方インバウンドに活かせるか

結論から言うと、難しいでしょう。というか辞めておいたほうがいいです笑

このナイトツアーは大都市だからこそ成り立つものであれ、それ以外の地域ではかなり厳しいです。

外国人から見た東京は「最先端」「近未来的」など先進的なイメージがあり、それをひと目見たいと世界中から観光客が押し寄せます。そこに憧憬の意識さえ覚える方も多くいます。

一方地方に求められているものは「伝統」「安らぎ」といったいわゆる和の文化や雰囲気でしょう。

それを踏まえると、こういったナイトツアーを地方でやってしまうと、外国人旅行者の求めるイメージにそぐわず、下手したらブランド崩壊なんてことも…笑

広島や金沢など徐々に知名度は上がっていますが、やはり「平和」や「歴史」といったイメージが強く、こと高山も伝統や田舎を感じに多くの外国人が来ています。

そうするとほとんどの外国人から「え、なんでここでこのツアー?」と疑問を持たれてしまいます。

馬瀬を含めた外国人に全く知られていない地域であれば尚更です。こんな田舎で超先進的ツアー!と最初のうちはもてはやされるでしょうが、間違いなく持続しないことでしょう。

体験一つとっても自地域の強みや資源を見極めた上で、商品造成していくことが大切でしょうね。

とはいえ、こういった体験ツアーが大都市で人気を博すことは地方インバウンドにも大きく好影響があります。

それは上で述べた大都市と田舎のイメージのコントラストがより際立つことですね。これを求める外国人相当数います。少なくとも高山を訪問する外国人旅行者の8割のインサイトはこれです。

東京でこういったエッジの効いた面白いツアーがどんどん出てくれば、日本旅行への期待も高まりますし、そのコントラストを求めて地方を目指す旅行者も増えてくることでしょう。

地方にもいずれその期待はくる(というかすでにきている)ので、来てから慌てふためくのではなく、映えるコンテンツが何か真剣に考え、しっかりと育てていってほしいと思います。