インバウンド人気コンテンツ造成に必要な地域資源分析のポイント4つ
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2018年の訪日外国人旅行者数が3000万人の大台を突破し、ますますアツくなっているインバウンド市場。
地方創生との関連も非常に強く、可能性しかないこの新しい市場に飛び込もうという民間の方、行政の方も多いのではないでしょうか。
今回は岐阜県のとある過疎化地域で実際にインバウンド起業を目指している経験から、地域資源を見極めるポイントを紹介していきたいと思います。
そもそも地域資源を見極める必要性
まずは「地域資源なんて本当に見極める必要あるの?ガンガン押していくだけでいいっしょ」と懐疑的に思われている方のために、その必要性について解説しましょう。
地域資源を見極める必要はあるのか?あります。ではそれはなぜか?
答えは単純。売れないから、つまり誘客ができないからです。もちろんゼロということはないですが、地域資源を見極めてプロモーションしたほうが断然効果アリです。
特に「長くインバウンドに注力していきたい」「持続可能なビジネスをつくりたい」といったようにインバウンドを長期的に考えていらっしゃる方であれば、尚更です。
インバウンド旅行者は、かなり目が効く方ばかりです。特に欧米の方々。
基本的に日本を旅行される海外の方は、中流階級以上の裕福ではないにしてもそれなりに経済的余裕のある方がほとんどです。これはアジアやヨーロッパなど国籍を問わずです。
香港人やシンガポール人など、むしろ日本人よりも所得水準の高い旅行者もたくさん日本を訪れています。
そういう方は総じて、モノの価値を見る目のある方なのです。つまり、商品やサービスを吟味するのが非常に上手であるということです。
するとどうでしょう?付け焼刃的に地域でつくった宿や体験、アクティビティが彼らの目に止まるでしょうか。答えは否。
初来日であっても世界中を訪れている方も本当に多いため、地域資源を見極めることなくつくった商品は間違いなく売れないでしょう。
自分の地域はたまた組織における魅力や強みは何であるかしっかりと分析する必要があります。
それでは、本題。地域資源を見極めるポイントはどういったものがあるのでしょうか。4つに分けて解説していきます。
周辺地域など他地域を分析
孫氏やポーターなど戦略論の基本ともいえる競合分析と言い換えることもできるでしょうか。まずは他地域を見て回りましょう。
これだけインバウンドが流行っているわけですから、日本中のどこかに過疎化地域やアクセス的に不利な場所でも盛り上がっているところはあるかもしれません。
日本人でも知らないような地域になぜ外国人が来ているのか?その地域の強みや魅力は何であるのか?
担当者にヒアリングをしてもいいでしょうし、オンライン上の評価などがあればそちらを参考にしてもよいと思います。
冒頭で述べた僕が活動している過疎化地域というのは、岐阜県にある馬瀬村というところなんですが、人口1100人の小さな山村です。
2019年の目標はこの人口の半分の外国人旅行者を呼び込むことであり、日夜努力しています。
ただそんな僕も最初にプロダクトを造る際に飛騨圏内の地域はいくつか見て回りましたし、県外で関東や東北なども視察しました。
他の地域と比較することで、見えないものが見えてくるんですよね。
敢えて地元の方にヒアリング
つづいて2つ目は、地元の方へ聞いてみること。これ意味あんの?って思いますよね。でもちゃんとあるんですよ。
その地域に何十年も住んでいると、地域資源が客観的に捉えられなくなるなんて話はよくありますね。だからこそ外部の視点を取り入れるために、地域おこし協力隊なんて制度も流行っているわけです。
ただ地元の人の意見も大事です。むしろ自社を分析するという意味では最も有効でしょう。
「この村の魅力はなんですか?」と聞くと決まって「何にもないからねえ」と答えられてしまいますが、何度も聞いてみましょう。
すると「〇〇ならまあ魅力になるかも」と一つや二つ挙げてくれます。そうしたらもらったもん!
その資源に関して詳細に分析するのです。つまり分析対象を考えるキッカケになるということですね。
そういう意味で、盲点ではあるものの自地域分析に重要な視点となるのです。
既存顧客の声を拾う
3つめは既存顧客がその地域をどう捉えているのか。これは外国人旅行者である必要はないです。
もちろん外国人がベターになりますが、日本人の旅行者でも全然OKです。
単刀直入に「この地域どうですか?何が気に入りました?」と聞いてみましょう。
すると地元の方のように一つや二つ必ず挙げてくれます。無論、旅行者は外部の方しかいないので日本人でも外国人でも客観的な視点に立って意見をくれるでしょう。
客観的、という意味で日本人でも構わないのです。自分もしくは地元の方が考える地域資源について聞いてみるのもよいでしょう。「〇〇どうですか?」みたいな感じで。
自分が調べた他地域についても聞いてみるとよいですね。他地域を客観的に捉えた主観的な自分たちの考えに、既存顧客の客観的な視点を取り入れるという非常に重要なエクササイズも出来ます。
顧客・想定ターゲットへぶつける
最後、4つ目は顧客や想定するターゲットにぶつけてみることです。いわばモニターのような感じですね。
プロダクトをつくれば地域資源分析が終わりということは決してありません。分析はあくまで仮説であって、事実とは異なる場合が往々にしてあります。
商品やサービスを販売、提供しつつ実際の評価をキャッチアップする価値は大いにあるのです。
というのも「絶対にこれが我々の魅力だ!」と意気込んで、いざ顧客にぶつけてみたら全くウケませんでした、という最悪の状況も起こり得ます。
作り込んで絶対の自信があっても仮説でしかないので、プロダクトをつくってからその仮説を検証する覚悟でいきましょう。
この点に関してはこちらの著書が参考になるかもしれません。アメリカやヨーロッパでは名著と評されています。
僕自身仮説が良い方向に進んだこともあれば、悪い方向に進んだこともありました。
馬瀬村の一番の魅力は「川」だったので、その美しさが映えるようなコンテンツを体験に多く盛り込んだことは非常に評価されました。これは良い意味で仮説が正しかったわけです。
一方「ここからの景色はこの村一番の魅力だ!」と思って何度か外国人ゲストを連れて行ったのですが、反応は思ったほど良くありませんでした。悪くはないにしても仮説は正しくはなかったわけです。
このように実際に顧客や想定ターゲットにぶつけてみると、得られる知見が非常に多いです。紹介した4つの中では一番重要な手段と言えるでしょう。
地域資源を見極め売れるコンテンツづくりを
以上、今回はインバウンド市場における人気コンテンツ造成に必要な地域資源分析のポイントを4つ紹介していきました。
僕のように地方や過疎化地域でインバウンドビジネスを立ち上げる方には特に参考になる内容だったかと思います。
地域資源の分析は、自地域の強みや魅力を分析することと同義で、他地域との差別化という意味でも非常に重要な意味を持ちます。
売れる商品造成には必要不可欠なものなので、ぜひ実践して外国人旅行者にウケるコンテンツをつくっていきましょう!