観光と自然保護の結びつき?田舎や地方でのエコツーリズム実現の難しさ
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唐突な質問ですが、あなたはどんな観光スポットが好きですか?
僕は歴史に思いを馳せることのできる所がいいですね。神社仏閣とか城とか宿場町とか…
人によって色々ですよね!買い物、景色、歴史、文化、アクティビティ、温泉。
今日は観光資源特に自然観光とエコツーリズムについてちょっと考えてみようと思います。
インバウンドにこの人あり!デービッド・アトキンソン氏
さて観光資源についてキッカケとなったのはこちらの記事。またしても東洋経済オンラインから。
外国人が心底うらやむ「最強観光資源」とは?|デービッド・アトキンソン
アトキンソン氏と言えばベストセラーとなった『新・観光立国論』の著者です。
最近はそれに関連して『世界一訪れたい日本のつくりかた』も刊行されました(これもAmazonベストセラー1位とか驚異的すぎる)。
でもこの人すごいですよね、日本人よりも日本文化を愛しているんですよ!
日本のインバウンドは、もはやこの方なくして語れませんね。
日本が自然観光に取り組むべき3つの理由
で、こちらの記事でアトキンソン氏はインバウンドに関連して日本の観光資源について語っております。
中でも日本が自然観光に取り組むべき理由に以下の3つを挙げています。
- 客層の幅が広い
- 長期滞在が期待できる
- 日本の自然は多様性に満ちている
確かに自然って子供から大人まで年齢性別関係なく楽しめますよね。アスレチックとかウォーキングとか。
自然を感じるものと捉えると、神社や寺などの見て楽しむものとは違って滞在期間が長くなるのも頷けます。
自然の多様性というのは、日本は縦に長い島国であり所によって色々な自然があるということです。
四季の美しさもそうだし、日本アルプスなどの自然の凄みを感じられるところや沖縄のような南国気分を味わえるところなど様々ですよね。
日本人と外国人との観光への認識のズレ
東京都のデータらしいですが、日本人と外国人と日本の観光に関して大きな認識のギャップがあったそうです。
都民への質問が「外国人観光客に東京で体験してほしいこと」、外国人観光客への質問が「自分が東京で体験したいこと」でした。
都民は「日本の歴史や文化を学んでほしい」という回答が多かったそうですが、外国人は「庭園や公園など、東京都ならではの自然も体験したい」と回答したそうです。
舞妓さんや神道などの日本文化って世界でも注目されているし、確かに日本人としてそれを知ってほしいなんて気持ち僕もあります。
でもこういう認識のギャップがあったとは正直驚きです…!
自然保護と観光の密接な結びつき-エコツーリズム
記事の最後に自然保護と観光の関係についての記述があります。
この点についてどう思われるでしょうか?エコツーリズムを知っている方は飛ばしてOKです笑
なんとなく相反するものだと思えませんか?
いつか富士山にインバウンド観光客が押し寄せすぎて、自然破壊が騒がれていた時期ってありましたよね。
でも現在富士山は「観光地」として整備したことで改善されてきているようです。
つまり観光を促進することで自然保護につながるというわけです。
そのロジックはどういうことかと言うと、ポイントは自然保護にはお金がかかるということです。
例えば「ゴミを捨てるな」とか看板を立てるのにもお金がかかります。
「◯◯を守ろう会」みたいなボランティア組織が真剣にゴミ拾いや景観整備活動に取り組んでも金銭的に限界があったりします。
馬瀬でもそういう現状を目の当たりにしたことがあります。お金がないからこれはできないね、って。
観光地としてルールや体制をしっかり整備すれば、たくさん人が来ても大丈夫。
もちろんマナーの悪い観光客はいますから絶対とは言えませんが、それでも少数なので。
自然を活かした観光を自然保護という名目で行い、観光で得たお金を自然保護活動に回す。
そうすれば長い目で見た自然保護が可能になるわけです。そしてそれがまさにエコツーリズムの考え方ですね。
自然保護×観光の難しさ
ここまではアトキンソン氏の記事を下に、日本の自然資源やその保護と観光の関連性について話していきました。
エコツーリズムといえば都会よりも地方が取り組むべきものだと容易に想像がつきますね。僕もそう思います。
現に多くの地方がエコツーリズムに取り組んでいます。
ここからは地方、特にこれまで普通の田舎だった地方でのエコツーリズム実現の難しさについて。前にこんな記事も書いているのでよかったらぜひ。
観光地としてどれだけ成り立ってきたか
ただ、この自然保護を見据えたエコツーリズムは結構無理がある地域が多いんじゃないかと思っています。
ここでのポイントは現状の観光商業規模です。
極端ですが富士山の例。自然観光が自然保護につながった好例ではありますが、これは富士山だからな気がします。
富士山は古くから日本人にとっても観光地として親しまれていたため、商店やレストランの数も多く観光という意味では素地がありました。
つまりたくさん観光客が来てもそれに比例してお金を落とさせることが出来たということです。
片やそこまでの観光地でない、まして全くの観光地でない場所はかなり厳しいと言えます。
たくさん人が来てもお金を落とさせる仕組みがなければ、自然保護には何も寄与しません。むしろマイナスかもしれません。
自然保護を目的に一丸となれるか
また単純に商店やホテルの数だけでなく、その地域全体を取りまとめるリーダー的存在がいるか否かはかなり大きいです。
例えば「自然保護のために売り上げの1%の寄付をお願いします」と言われても、「わかりました」と首を縦に振る方はそんなにいないことと思います。
富士山は地元の人もそうですが、日本人にとって誇りの対象ですね。
だから余計に「富士山を守らないと!」という気運が高まりやすかったのだと思います。
組織体系はなんでもいいですが、地域一丸となって「自然保護」という命題に向かって地域全体で取り組まねば難しいでしょう。
そのためには地域をまとめられるリーダーが不可欠ですね。
おわりに
いかがだったでしょうか?
今日はデービッド・アトキンソン氏の記事から自然保護と観光、エコツーリズムについて考えました。
終盤消極的とも取れる自論を展開しましたが、ポジティブなDaiは実際なんとかなるとも思っています。
確かに観光地としての素地がないと厳しい部分はあるでしょうが、気持ちで解決しましょう笑
観光を考える上でアトキンソン氏の指摘はかなり参考になる部分が多く勉強になります。
観光特にインバウンドに携わる方にとっては、どちらも必読本と言えるでしょう。
アトキンソン氏の記事や著作、自然保護と観光の関係についてなどコメントお待ちしています!