仕事に恋愛に悩める若者の羅針盤『人生は20代で決まる』レビュー
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人生の重要な出来事のうち80%は35歳までに起こる。
この言葉を信じる方がどれだけいるでしょうか。ただ考えてみれば正しいかもしれません。学生、就職、結婚、住宅購入などなど…
そうなると人生において20代の10年間がいかに重要であるかも自覚できるような気がします。
その答えをメグ・ジェイ氏が『人生は20代で決まる』の中で記しています。
心理学者でありカウンセラーでもあるジェイ氏自身のカウンセリング経験を下に、実際のクライアントとの対話の中で見えてきた若者の抱える悩みと、それに対する的確なアドバイスが生々しく綴られています。
冒頭にも「まるで自分に語りかけられているように感じた」という読者の感想が書かれていますが、僕もそう感じたことが何度かありました。
特に若い世代の方に読んで頂きたい著書ですが、30代40代の方にもオススメできます!
- 悩める20代のあなた
- まもなく20代をむかえるあなた
- 20代を過ぎて不安を感じているあなた
書籍概要
成人発達学を専門とする臨床心理学者であるメグ・ジェイ氏は、クライアントの大半が20代であり、若者にカウンセリングをする機会が多くありました。
その最中、あまりにも多くの20代がビジョンを欠き、時間を無駄にしている姿を見てきました。
中でも特に残念だったのが、20代の時に将来のビジョンが欠けていたばかりに、30代、40代になった人が仕事やパートナー探し、そして経済面や子づくりなどで高い代償を払わされ涙を流しているのを見た時でした。
そんなふうに苦しむ若者を見てきたジェイ氏は、大人として今、そしてこれから20代を迎える人々に向けて、的確なアドバイスをしなければいけないと思い、執筆を決意したそうです。
10年以上に渡る、若者へのカウンセリング経験と学生への指導経験を下に、随所で先人たちの格言や科学的なデータが用いられています。
人生において20代がいかに大切な10年間であるか、そしてその大切な10年間をどのように過ごすべきなのか、豊富な具体例から紐解かれており、20代のみならず子供から親世代まで非常に参考になる全米ベストセラー本です。
著者プロフィール
アメリカの臨床心理学者。専門は成人の発達心理。ヴァージニア大学准教授を務める傍ら、個人カウンセリングも行なっている。臨床心理学およびジェンダー研究により、カリフォルニア大学バークレー校にて博士号取得。著書『人生は20代で決まる』(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)は20万部超のベストセラーとなり、12カ国語以上に翻訳されている。出演したTED Talk「30歳は昔の20歳ではありません」は960万回以上再生されている
目次
第1部:仕事
-1章:アイデンティティ・キャピタル
-2章:ゆるいつながりこそ大事
-3章:潜在意識に耳を傾ける
-4章:フェイスブックの嘘
-5章:カスタムメイドの人生をつくる
第2部:恋愛
-6章:結婚をまじめに考える
-7章:家族選び
-8章:同棲は得?それとも損?
-9章:釣り合わない相手との付き合い
-10章:似た者どうし
第3部:脳と肉体
-11章:結果を予測する
-12章:冷静に、落ち着いて考える
-13章:自信はどこから生まれる?
-14章:折り合って、前進する
-15章:妊娠と出産と不妊の問題
-16章:ハッピーエンドから逆算して人生を設計する
印象に残った内容
アイデンティティ・キャピタル
アイデンティティ・キャピタルとは時間をかけて培ってきた、自分の能力や経験すなわち個人的資産です。
資格やスキルといった履歴書に書いて有利になるものももちろん含まれています。
ただそれよりも、「自分という人間をどのようにして築いてきたか」ということが重要で、それを説明できることは採用面接だけでなく、良好な人間関係形成に置いても大切なことです。
自分では分かっているつもりでも、いざ人に説明するとなると難しいものです。
ほとんどの人が新卒採用時に行った自己分析のみで、その後の社会人での経験を回顧することなく更新がストップしているように思います。
それは採用面接云々だけの話ではなく、人生設計において危険なことなので定期的に過去と現在を省みることでアイデンティティ・キャピタルの確認をすべきだと言えます。
ゆるいつながり
人間は同じ思想を持つ人とグループになりがちです。昔からの旧友がその一つです。
ただ人生に好転をもたらしてくれるのは多くが「ゆるいつながり」を持つ人とジェイ氏は言います。
ゆるいつながりを持つ人というのは、例えば普段挨拶をする程度の会社の同僚や友人のパーティでたまたま会った人などです。
いつも同じ仲間で愚痴を言い合うことも時に必要ですが、そればかりしていてはいけません。
ものの見方が少し異なる人とつながりを持つことで、自分の人生に改善がもたらされるのです。
思いも寄らない人が自分の望みを叶えてくれるかもしれない、ということを念頭におき、どんな人付き合いは大切にしたいと思いました。
SNSの孕む危険性
Facebookへの投稿は自己顕示欲の現れ、また逆にそれを見て「自分はダメだ」と思ってしまう。
これはよく分かりましたし、現に自分も経験したことが何度かあります。ですので現在はFacebookへの投稿も閲覧も全くしていません。
投稿の裏側は見えないので、どうしても投稿そのものを真実として捉えてしまいがちです。
投稿者は実は「良いことだけ書こう」と思ってそうしているだけかもしれません。でも閲覧者は目に見えていること”だけ”が本当のことだと信じてしまうわけです。かなり不毛ですよね笑
確かに情報収集という観点において、SNSは非常に強力です。ただ、知人友人の日常や英雄談は自分に何の意味をもたらすでしょうか。
それによってエンジンが点くのであれば活用すればいいですが、そうでないことの方が多いでしょう。
少なくとも自分は「無駄だ」と感じたので一切の投稿と閲覧を辞めました。それよりも自分に今必要なことを考え、それを実行する方が遥かに有意義です。
己のストーリー
アイデンティティ・キャピタルとも重なる部分ですが、自己の経験に基づいた現在何を考えているか、どうしたいか、を説明できる人は強いです。
特に採用試験においては、膨大な量の履歴書に目を通してきた採用担当者からすれば、「目立つ」応募者には注目します。
その目立つ人というのは、自分のストーリーを語れる人なのですね。
何を経験し、その経験が今の自分にどのように影響し、では現在自分は何をしたいと考えているのか、なぜそれをその会社で成し遂げたいのか…
難しいことだし時間もかかることですが、仕事を勝ち取りたいのであれば必須ですし、採用のみならずライフプランニングにも大いに役立ちます。
自分も半年ごとなど期間を定めて、自分だけのストーリーを紡ぎたいと思います。ちょうどブログがあるじゃないか!笑
共通項とパーソナリティ
第2部の「恋愛」の章で印象に残ったことを一つ。
恋人やパートナー選びにおいて共通点は大切です。趣味とか好きな食べ物とか、他にも年齢や出身など。
僕も少ないよりは多いほうがいいと思います。ただ共通項よりもパーソナリティの相性を重視すべきとありました。
詳しくは読んでいただきたいのですが、端的に言うと「あなたはどういう人間であるか」ということです。開放的、誠実とかそういうことです。
ここで、ジェイ氏はマッチングサイトのでの出会いはパーソナリティの分析に優れていると書いていました。
僕もマッチングサイトは使ったことがあるので、うんうんとうなずいてしまいました笑
ただ確かに共通点がいくらあっても、結婚して同じ家で生活して、と考えるとパーソナリティといった核心部分を重視すべきですよね。
共通点を求める恋愛は学生で終えましょう。自戒も込めて笑
まとめ
見た目は通常の書籍と変わらない厚さでしたが、予想以上に時間をかけて読みました。
仮名を用いてはいますが、実際のクライアントの症例は大変痛々しく感じられました。
「これ自分にも当てはまるわ」という箇所もいくつもあり、実際に1対1でカウンセリングを受けているような気分になりました。3章全てが痛快で非常に参考になる内容でしたね。
先延ばしはやめ、理想のライフプランニングを立て、今すべきことを明確にします。
人生まだまだこれから!
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